この記事を書いた人:中村 恵(なかむら めぐみ)
理学療法士 / ヨガインストラクター (RYT500)
整形外科クリニックで8年間、5,000人以上の腰痛・姿勢改善をサポートした経験を持つ。現在は自身のスタジオで「運動が苦手な女性のためのヨガ」を主宰。「あなたの体は、必ず応えてくれますよ」をモットーに、解剖学に基づいた優しく肯定的な指導で、多くの女性の心と体の悩みに寄り添っている。
「最近、下腹だけぽっこり…。昔の服もきついし、運動しなきゃと思うけど、きついのは続かない…」そんな風に感じていませんか?
ご安心ください。実は、ぽっこりお腹の解消に、がむしゃらな腹筋運動は必要ありません。
この記事では、理学療法士の視点から、なぜ運動が苦手な方にこそヨガが最適なのか、その科学的な理由と、今日から1日10分で始められる「納得できる」お腹引き締めヨガだけを厳選してご紹介します。
読み終える頃には、お腹が引き締まる本当の仕組みが分かり、「これなら私にもできるかも」と、きっと感じていただけるはずです。
「腹筋100回やっても下腹が凹まない…」その理由は“天然のコルセット”の衰えでした
「お腹を凹ますには腹筋運動」と思いますよね。理学療法士になる前の私も、昔はそう信じていました。ですが、多くのクライアントさんから「毎日腹筋を頑張っているのに、下腹だけがどうしても凹まないんです」というお悩みを伺ううちに、問題はもっと別の場所にあると気づいたのです。
多くの人が鍛えようとするお腹の表面の筋肉は、例えるなら「鎧(アウターマッスル)」です。このアウターマッスルは体を動かす力にはなりますが、内臓を支えたり、姿勢を維持したりする力は弱いのです。
一方で、ぽっこりお腹の本当の原因は、体のもっと奥深くにある「インナーマッスル」の衰えにあります。このインナーマッスルは、内臓を正しい位置に保つ「天然のコルセット」のような役割を担っています。長年のデスクワークや姿勢の癖でインナーマッスルが衰えると、このコルセットが緩んで内臓が下がり、結果として下腹がぽっこりと出てきてしまうのです。
つまり、インナーマッスルの衰えが、ぽっこりお腹の直接的な原因だったのです。いくら表面の鎧(アウターマッスル)を鍛えても、内側のコルセットが緩んだままでは、根本的な解決には繋がりません。
“寝たまま呼吸”が最強のトレーニング?理学療法士が教える「お腹が凹む」本当の仕組み

では、どうすればその「天然のコルセット」であるインナーマッスルを鍛えられるのでしょうか。答えは、意外なほどシンプルです。それは「呼吸法」にあります。
特に、インナーマッスルの中でも最も重要な「腹横筋(ふくおうきん)」という筋肉は、息を吐くときに自然と収縮する性質を持っています。腹横筋は、まさにお腹をぐるりと囲むコルセットのような筋肉です。
つまり、深い呼吸法を意識するだけで、インナーマッスルは活性化されるのです。激しい動きは必要ありません。むしろ、リラックスした状態でゆっくりと息を吐くことこそが、最強のインナーマッスルトレーニングと言えます。
この呼吸法とインナーマッスルの関係性を理解することが、お腹引き締めの第一歩です。呼吸によってインナーマッスルが目覚めると、内臓が正しい位置に戻り、さらには姿勢改善にも繋がります。良い姿勢は、それだけでお腹周りをすっきりと見せてくれる効果もあるのです。
【動画あり】運動音痴さんでも絶対できる!1日10分「寝たままお腹引き締めヨガ」3ステップ
お待たせしました。それでは、理屈がわかったところで、早速実践してみましょう!
今日ご紹介するのは、ベッドや布団の上でもできる、本当に簡単な3つのステップです。大切なのはポーズの美しさではなく、呼吸と体の感覚に意識を向けることです。さあ、一緒にやってみましょう!
ステップ1:骨盤ほぐし(準備運動)
まずは、体の土台である骨盤周りを優しく動かし、インナーマッスルが働きやすい状態に整えます。
- 仰向けになり、両膝を立てます。足は腰幅に開きましょう。
- 両手は体の横に置きます。
- 息を吐きながら、おへそを覗き込むようにして、腰で床をぐーっと押します。(骨盤が後ろに傾く感覚)
- 息を吸いながら、今度は腰を少し反らせて、腰と床の間に隙間を作ります。(骨盤が前に傾く感覚)
- この動きを、呼吸に合わせて10回ほどゆっくり繰り返します。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: この骨盤運動では、腰を反らせすぎないように注意してください。
なぜなら、多くの人が腰を反らせる動きを頑張りすぎてしまい、腰に負担をかけてしまうからです。大切なのは、あくまで「骨盤」が前後に優しく揺れる感覚を掴むことです。この知見が、あなたの安全で効果的な実践の助けになれば幸いです。
ステップ2:猫と牛のポーズ
呼吸法と体の動きを連動させる最高の練習です。背骨を柔軟にし、お腹の引き込みを意識しやすくなります。
- 四つん這いになります。手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きましょう。
- 息を吐きながら、おへそを覗き込むように背中を丸めます。猫が威嚇するように、背中を高く持ち上げましょう。
- 息を吸いながら、今度は胸を開き、視線を少し斜め上に向けます。牛のように、背中を心地よく反らせます。
- この猫と牛のポーズを、呼吸に合わせて10回ほど繰り返します。
ステップ3:橋のポーズ

最後は、下腹部の引き締めとお尻のシェイプアップに効果的なポーズです。
- 仰向けの姿勢に戻り、両膝を立てます。足は腰幅、かかとはお尻の近くに引き寄せます。
- 息を吐きながら、足の裏で床を押し、お尻をゆっくりと持ち上げます。
- 膝から肩までが一直線になる位置で、5回深い呼吸を繰り返します。息を吐くたびに、下腹が薄くなるのを意識しましょう。
- 息を吐きながら、背骨の上から一つずつ、ゆっくりと床に下ろしていきます。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. ヨガは毎日やらないとダメですか?
A1. いいえ、全くそんなことはありません。まずは週に3回から始めてみてください。大切なのは義務感でやることではなく、「気持ちいいな」と感じる瞬間を大切にすることです。続けられなかった自分を責める必要は全くありませんよ。
Q2. 体がすごく硬いのですが、できますか?
A2. もちろんです。むしろ、体が硬いと感じている人ほど、ヨガの効果を実感しやすいと言えます。この記事で紹介したポーズは、体の硬い方でも無理なく行えるものばかりです。決して無理をせず、ご自身の「心地よい」範囲で動いてみてください。
Q3. いつヨガをやるのが効果的ですか?
A3. おすすめは、心と体がリラックスしている夜、寝る前です。寝る前にヨガを行うと、一日の体の緊張がほぐれ、睡眠の質を高める効果も期待できます。もちろん、朝起きてすぐに行い、スッキリとした一日を始めるのも素晴らしいです。ご自身のライフスタイルに合わせて、続けやすい時間を見つけてください。
まとめ & 行動喚起
ぽっこりお腹の鍵は、激しい運動ではなく「インナーマッスル」と「呼吸」です。
運動が苦手だと感じていたあなたも、今日ご紹介した寝たままヨガなら、きっと気持ちよく続けられるはずです。体は正直です。少しずつ、自分のペースで始めてみましょう。
まずは今夜、ベッドの上で「橋のポーズ」を3回、深呼吸しながら試してみませんか?その小さな一歩が、1ヶ月後のあなたを変えるきっかけになります。
この記事は、以下の専門家によって監修されています。
[ここに監修者(整形外科医または婦人科医)の顔写真、名前、肩書き、経歴、クリニック情報などを記載します。]
参考文献リスト
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