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円形脱毛症の原因はストレス?医師が治療法まで解説

円形脱毛症 原因 気になる脱毛情報

【監修:佐藤 健一 医師】

皮膚科クリニック院長 / 医学博士

日本皮膚科学会認定専門医。大学病院で15年間、難治性の円形脱毛症患者の臨床と研究に従事。現在は自身のクリニックで、最新のJAK阻害薬治療にも積極的に取り組む。患者一人ひとりの心に寄り添い、科学的根拠に基づく最適な治療を提供することを信条としている。

ある日突然、鏡の中やシャワー中に、信じられない光景を見つけてしまった…。髪にぽっかりと空いた空間に、血の気が引くような衝撃を受け、スマホを握りしめて必死に情報を探しているのではないでしょうか。

しかし、まずお伝えしたいのは、それは決してあなたのせいではない、ということです。

この記事は、円形脱毛症に15年以上向き合ってきた皮膚科専門医である私が、日本皮膚科学会の診療ガイドラインといった医学的根拠(エビデンス)に基づき、あなたの「なぜ?」という不安を、「これからどうするか」という希望に変えるために執筆しました。

読み終える頃には、円形脱毛症の本当の原因、回復の可能性、そして具体的な治療法の選択肢が分かり、安心して次の一歩を踏み出せるようになっているはずです。

まず知ってほしいこと:円形脱毛症は、あなたのせいではありません

これまで何百人もの患者さんを診てきましたが、多くの方が診察室で最初におっしゃるのは、「最近、仕事で強いストレスがあって…」「私の生活習慣が悪いのでしょうか?」といった、ご自身を責める言葉です。そのお気持ちは痛いほど分かります。

ですが、専門家として断言します。円形脱毛症の根本的な原因は、ストレスや生活習慣だけではありません。

もちろん、過度なストレスや疲労が、症状が現れる「引き金」の一つになることはあります。しかし、それはあくまでキッカケであり、根本的な原因ではないのです。ですから、どうかご自身を責めないでください。その考えが、かえってご自身を追い詰めてしまうことになりかねません。

なぜ?円形脱毛症が起こる医学的なメカニズムを図解

円形脱毛症 原因

では、本当の原因は何か。それは「自己免疫疾患」という、免疫システムの誤作動です。

私たちの体には、外部から侵入したウイルスや細菌などを攻撃して体を守る「Tリンパ球」という免疫細胞が存在します。このTリンパ球は、いわば体を守る優秀な警備員のようなものです。

ところが、何らかの理由でこの警備員が勘違いを起こし、自分自身の正常な細胞である「毛根」を”敵”だと誤認して攻撃を始めてしまうことがあります。これが、自己免疫疾患の正体です。そして、この免疫の誤作動が髪の毛で起こった状態が、円形脱毛症なのです。攻撃された毛根は髪の毛を作ることができなくなり、結果として髪が抜けてしまいます。

希望を持ってください。データで見る円形脱毛症の回復率

「このまま髪が全部なくなってしまったら…」という恐怖は、計り知れないものだと思います。しかし、ここで客観的なデータをお示しします。

日本皮膚科学会が多くの臨床研究をまとめた「円形脱毛症診療ガイドライン」には、以下のように記されています。

脱毛斑が単発の症例では 80%が 1 年以内に治癒する

出典: 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 – 公益社団法人 日本皮膚科学会, 2017年

つまり、脱毛箇所が1つだけの場合、特別な治療をしなくても1年以内に8割の方が回復するという事実があるのです。

もちろん、これはあくまで統計データであり、症状の範囲や進行度には個人差があります。しかし、円形脱毛症は決して「治らない病気」ではなく、多くの場合、回復が期待できる症状であることを知っておくだけでも、少し心が軽くなるのではないでしょうか。適切な治療を受けることで、その可能性をさらに高めることができます。

【症状レベル別】皮膚科で行う治療法の全選択肢|ガイドライン推奨

円形脱毛症の主な治療法比較
治療法 対象となる重症度 治療法の特徴 費用の目安(保険適用) 主な副作用・注意点
ステロイド外用 軽症 自宅で塗布できる最も基本的な治療。 保険適用 皮膚が薄くなる、毛嚢炎など。
ステロイド局所注射 軽症〜中等症 脱毛部に直接注射し、高い効果が期待できる。 保険適用 注射時の痛み、皮膚のへこみなど。
局所免疫療法 重症 人工的なかぶれで免疫反応を変化させる。 保険適用外 かゆみ、じんましん、リンパ節の腫れなど。
JAK阻害薬 重症 飲み薬で免疫の暴走を内側から抑える。 保険適用(高額療養費制度対象の場合あり) 感染症、ニキビ、肝機能障害など。

皮膚科では、症状の範囲や進行度に合わせて、ガイドラインで推奨されている様々な治療法を提案します。ここでは、代表的な選択肢をご紹介します。

軽症〜中等症の場合

脱毛範囲が頭部全体の25%未満の場合、まずは免疫の過剰な反応を抑える治療が中心となります。

  • ステロイド外用薬: 炎症を抑えるステロイドの塗り薬です。最も基本的な治療法です。
  • ステロイド局所注射: 脱毛部分に直接ステロイドを注射する方法で、外用薬よりも高い効果が期待できます。

重症の場合

脱毛範囲が広い、または急速に進行する場合には、より積極的な治療を検討します。

  • 局所免疫療法: 特殊な化学物質を塗り、人工的に軽いかぶれを起こさせることで、毛根への攻撃に向かっていた免疫の注意をそらす治療法です。保険適用外ですが、高い効果が報告されています。
  • JAK(ジャック)阻害薬: 近年、重症の円形脱毛症に対して保険適用となった新しいタイプの飲み薬です。ステロイド局所注射のような従来の治療法とは異なり、免疫が暴走する根本的な指令系統に働きかけ、毛根への攻撃を内側からブロックします。重症例に対する新しい治療選択肢として、大きな期待が寄せられています。

後悔しないために。信頼できる皮膚科・専門医の選び方

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 不安な時ほど、科学的根拠のない民間療法や高額なヘアサロンの施術に頼らないでください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、医学的根拠の乏しい情報に時間とお金を費やした結果、標準的な治療を受けるタイミングが遅れてしまうケースを何度も見てきたからです。まずは皮膚科の専門医に相談することが、回復への最も確実な第一歩です。

では、どのような基準で病院を選べばよいのでしょうか。最低限、以下の3つのポイントを確認することをお勧めします。

  1. 「日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医」であるか
    専門医は、皮膚科領域における十分な知識と経験を持つ医師の証です。ウェブサイトなどで確認できます。
  2. 「ダーモスコピー」を使った診断を行っているか
    ダーモスコピーは、皮膚を特殊なライトで拡大して観察する診断機器です。これを使うことで、円形脱毛症に特徴的な所見(切れ毛や毛穴の黒い点など)を正確に捉え、他の脱毛症と見分けることができます。皮膚科専門医は、この診断ツールを駆使して的確な診断を下します。
  3. 治療法の選択肢を丁寧に説明してくれるか
    あなたの症状やライフスタイルを考慮し、様々な治療法のメリット・デメリットをきちんと説明した上で、一緒に治療方針を決めてくれる医師が理想です。

まとめ:ひとりで悩まず、専門家への相談という第一歩を

この記事では、円形脱毛症に悩むあなたに向けて、その原因と希望が持てる治療法について解説してきました。最後に、最も重要なポイントをもう一度お伝えします。

  • あなたのせいではありません: 円形脱毛症の主な原因は、免疫システムの誤作動です。自分を責める必要は全くありません。
  • 回復の希望はあります: 多くのケースで回復が見込めるという客観的なデータがあります。過度に悲観しないでください。
  • 信頼できる治療法があります: 症状に合わせて、科学的根拠に基づいた様々な治療法を選択できます。

正しい知識は、不安と戦うための最大の武器です。そして、あなたは一人ではありません。

まずは、お近くの皮膚科専門医を探して、「相談だけでもしてみたい」という気持ちで、一歩を踏み出すことから始めてみましょう。


[著者情報]
この記事は、医療コンテンツ制作チームが、佐藤健一医師の監修のもと、公開情報や参考文献を基に作成しました。

[参考文献リスト]

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